第四回東スポ映画祭 ②/2
プライド 運命の瞬間 [VHS] |
無関心ながら、見てみるとどっぷりはまりました。戦争という視点だけでなく、働く自分(自分の意とする考えとは違う方向で物事が動くとき)に置き換えるとかなり深い。自分をとるか、周りが求める自分をとるか…プライドという言葉の重さを感じます。 |
深い河 [VHS] |
熊井啓と三船が組んだ最後の一作。三船は頭の病が進行し、半ば朦朧としていたという。撮影もしばしば中断したらしい。しかしである、画面に姿を見せる三船からはそんな雰囲気は微塵も感じられない。さすがである。出番はそんなに多くないが、花火をバックに登場するシーンなどは夢のような美しさである。痩せた三船に往年の迫力はない。それでも、沼田耀一に日本酒の盃を投げつけるシーンは、ハッとする凄みがあった。インドロケも美しかったが、自分が印象に残る名場面は、やはり三船の勇姿である。早くDVD出してほしい。 |
皆月(みなづき) [VHS] |
奥田英二は相変わらず。この人確か「新・雪国」でもこんな役やってなかったっけ?吉本多香美はその点奥田を好きになる女の心情をうまく表現していると思う。 ちょっとロードムービーっぽい。それはまたそれでいいんだけど。 |
新・雪国 [DVD] |
笛木優子さん目当てで観ましたが、内容はイマイチでした。古くさくてオチも微妙…笛木優子さんの可愛さ、初々しさだけはオススメです。 |
眠らない街 新宿鮫 [DVD] |
ポルノにコメディ、ロマンスやヒューマンと幅広いジャンルでそれなり作品を撮り続けている滝田洋二郎監督。最新作『おくりびと』の評判も上々でハズシの少ない映画監督という印象が自分の中では強い。その滝田監督による大沢在昌の人気ハードボイルドシリーズ第1作目『眠らない街』の映画化だ。数年前に館ひろし主演でNHKドラマ化されたシリーズに比べると、真田広之の方が刑事鮫島役にはまっていた感じ。どんな役を演じても「あぶ刑事」に見えてしまう舘ひろしは演技の幅が狭すぎる。公安時代のイザコザを原因でキャリア組なのに防犯課の警部どまり、はぐれ刑事として単独捜査を敢行する鮫島の孤独感やトラウマ、(麻薬に対する異常なほどの)潔癖性などを真田広之が人間臭く演じている。
しかし、マドンナ役の青木晶役の田中美奈子は、(多くのレビュアーのご指摘どおり)あきらかなミス・キャスト。ロック・ボーカル・シーンはおいといても、原作の中では鮫島にロケット・○ッパイと呼ばれている晶と田中とのフェロモン差はいかんともしがたく、ポルノ出身の滝田監督をもってしても、(ソフトボールの上野投手にちょっと見似ている)田中から“女”を引き出すのは難しかったようで、肝心の真田との絡みがまったく盛り上がらない。むしろ、拳銃密造業の同性愛者・木津(奥田瑛ニ)とのあぶないプレーの方がよっぽど見ごたえがある。 ストーリー的には晶の新宿ライブと密造拳銃がどのように結びつくかが映画の見所で、観客の目を眩ます引っ掛けもちゃんと用意されており、正直中だるみはまったく感じなかった。最近のナル男俳優とは段違いの存在感を見せている、真田広之がとにかくかっちょいい。今時「晶はオレの女だー」なんてクサイ台詞を叫んでも絵になってしまうのは、この人ぐらいしか見あたらない。それだけに相手役のマドンナにせめて(10年前の)キョンキョンあたりをキャスティングしてほしかった1本だ。 |
男のダンディズム (男のVシリーズ) |
若い頃、奥田瑛二に憧れていた。
ああいうだらしない男が格好よく見えた。 本書は役者本としては、出色の出来ではないか。 奥田瑛二は役柄と本人の内面が通じ合う数少ない役者である。その背景を奥田が自らを語っているのだが、本書の肝は「だらしなく頼りない男」になるために彼は生きてきたという下りだ。 それは奥田にとって理想の生き方だという。 役者としても人間としても彼はマッチョやスタイリッシュな生き方を否定して、自然体をよしとしてきた。その自然体が「だらしなく頼りない男」というはちょっと・・・ではあるが(笑)。 「だらしなく頼りない男」の作法がきちんと生真面目に書かれており、巷の「俺本」とは明確に異なる。繊細なのだ。 ともかく女性にもてまくり、仕事にも没入した奥田瑛二の半生を読むことが出来る。 その語り口は奥田節というか、熱いのか醒めているかわからない、独特のリズム。役者としての矜持も感じられ、一読の価値有り。 かっこいい。 |