エルクヘアカディスの誘い
新装版 カディスの赤い星(下) (講談社文庫) |
上巻では舞台が日本。PRマンが顧客である楽器会社の依頼、これもスペインのギター製作者の依頼なのだが、によりサントスということしか分かっていない人物を探すことから始まる。上巻は何か進行も遅く、ところどころにある少し間の抜けた冗談にも若干興ざめの感もあるのだが、下巻に入りスペインに舞台が移ってからは話しがフランコ総統暗殺になると話しが一気に展開し、テンポも早くなる。
そして最後に近づくにつれ話しがどんでん返しの連続となりがぜん面白くなってくる。最後に全ての面白さを取っておいたようなストーリーである。 著者自身のあとがきによると、この本はを書き上げたのは1977年6月。そのときまだ著者は作家となっておらず会社勤めの傍ら書き上げた。その後作家としてデビューし『百舌の叫ぶ夜』が売れ始めた頃、これを編集者に読んでもらって本になるに至ったと。 すなわちこれが著者の処女作なのである。 著者自身、稚拙な部分、気負い過ぎの部分があると述べているが、一方、またこうも述べている。 『処女作にはその作家のすべてが込められている、という。また、作家は処女作を越える作品は書けない、とも言う。ある意味で、それは正しいと思った。』 読者にも、著者の熱気が伝わってくる作である。 |
新装版 カディスの赤い星(上) (講談社文庫) |
直木賞・日本推理作家協会賞受賞作であり、作者の魅力の詰まった代表作。
PRマンの漆田は、日野楽器がスペインから招いた著名なギター製作家ラモスから、サントスという日本人のギタリストを捜してほしいと頼まれる。20年前ギターを求めスペインを訪れたサントスの腕は認めたものの、製作が追いつかずギターを譲れなかったことが心残りになっているというのだ。 卓越したギターの腕を持ちながら帰国後忽然と姿を消してしまったサントス。サントスを探す漆田は、彼の息子と思われるパコというギタリストをてがかりにサントスの行方を追うが、やがてラモスがサントスを探す理由の一つに行き当たり、巨大な事件の波に飲み込まれていく。 上巻では、「カディスの赤い星」の正体とそれに込められた目的が明ら!かになる。 サントス探しの他に、「カディスの赤い星」の正体、ライバル会社太陽楽器のPRマン理沙代との恋、「全日本消費者同盟」槙村との対決、テロと、読者を飽きさせない要素がふんだんに詰まった作品である。 「スペイン」「広告業界」と、この作品後の作者の方向性がみられる作品であり、まさに直木賞に値する作品である。 本作品は、1986ミステリー・ベスト10国内部門4位にランキングされた。同年は2位に もう一つの代表作「百舌の叫ぶ夜」がランキングされており、作者の大ブレークした一年となった。 |
アナコンダ 2 [DVD] |
この手のジャンルは2は 大抵面白くなく、 ありきたりで襲われる人間がわかってしまうのだけどこれは中々良かった ストーリーはありきたりだが、 他のモンスターパニック物はあまりモンスターが出てこないがこれはちょくちょく出てくる スリルなシーンもあり こいつ喰われるだろうなと思っても生きれたり、人間同士のトラブルがあり中々見物だった。 CGに関してはバレバレなとこもあるが気になる程ではない あと猿が良かった。 3があれば見てみたい |
ホセ・ルイス・ゴンサレス名演集 |
格別にテクニックがあるとは思えないが、とても美しいギターの音色を持ったギタリスト。この一枚でギターファンになった方も非常に多い、お勧めの一枚 |
ドビュッシー、アルベニス&グラナドス:作品集 |
DENONの「ロシアピアニズム名盤選」シリーズ第3回発売から初登場となるオレグ・ボシュニアコーヴィチ(Oleg Boshnyakovich,1920-2006)のドビュッシー、アルベニス、グラナド
ス。 世に「ショパン弾き」という言葉がある。ショパンのレパートリーの中心とし、自他ともにショパン演奏において、一つの方向性を確立したピアニストに与えられる称号だ。いや、確かに「称号」かのしれないが、そのような呼び名はちょっと誤解を招くこともあると留意しておかなくてはならない。例えば、ここで聴ける“ショパン弾き”ボシュニアコーヴィチのフランス音楽、スペイン音楽があまりにもすばらしいから・・・ 実際、ボシュニアコーヴィチは広いレパートリーを持っていたピアニストだ。彼の演奏スタイル・・・旋律線を大事にし、そこを中心にサポートする音たちを裾に配置するような演奏が、思った以上に汎性の高いスタイルだったということだろうか。それにしてもここで聴かれる楽曲たち・・・ことにアルベニスとグラナドスは素晴らしい。彼らの曲はギター曲としても有名だが、ボシュニアコーヴィチの手にかかるとピアニスティックなソノリティに満ちた作品へと変貌する。アストゥーリアスの色彩あふれるリズム感の鮮やかなこと!スペイン舞曲は歌謡性にあふれながら躍動性をも持ち合わせ楽曲の恰幅を雄大に整える。ロシアの大地において、しかも大半の楽曲について録音当時はソ連の統制時代だったことを考え合わせる。このピアニストの研ぎ澄まされた感性がいかに鋭敏だったかを感じさせずにはいられない。楽曲自体の素晴らしさまで再認識させてくれる偉大な名演だ。聴けてヨカッタ。 |