この町のひと・最終話「満月」②(西川峰子さん、説教する)
御宿かわせみ選集 第一集 [DVD] |
「御宿かわせみ」と言えば、もう20年以上にわたり多くのファンを持つ平岩弓枝さんの作品です。元は八丁堀の鬼と呼ばれた同心の娘で、今は大川端のかわせみと言う小さな宿の女主人をしている「るい」と、その幼馴染で与力の弟「東吾」。このふたりの切ないながらも一途な恋を縦糸に「かわせみ」に纏わる様々な人たちが巻き起こす事件を織り込みながら、江戸の情緒を紡ぎだす作品です。「御宿かわせみ」も幾人かの方々に演じられて来ましたが、連続物としては初代にあたるこの作品は、原作に忠実に、実に丁寧に作られた作品として多くのかわせみファンの間でも評判の高い物です。中でも一番人気の「江戸の子守唄」の入った第一集 は必見に値します。今は亡きハナ肇さんが娘を思う父の愛を演じた「秋の蛍」も入っており是非お勧めいたします。 |
親不孝長屋―人情時代小説傑作選 (新潮文庫) |
吉野家の牛丼並みの廉価で買える文庫本だが、これが侮れない。文芸評論家の縄田一男が編んだ、市井ものの時代小説の好アンソロジーです。時代小説の初心者にもお勧めできる内容と言えるだろう。
収録作品は、池波正太郎「おっ母、すまねえ」、平岩弓枝「邪魔っけ」、松本清張「左の腕」、山本周五郎「釣忍」、宮部みゆき「神無月」の5篇。それぞれの作風の違いがよくあらわれている秀逸な短篇ばかりを選りすぐっていて、ハズレがない。 時代小説のこの分野の名手であった山手樹一郎や藤沢周平らをあえてはずして、若手中堅の宮部みゆきに大先輩たちと肩を並べるかたちでトリを務めさせたという意外な人選に注目。 それほどに「神無月」は間然するところのない珠玉作です。さらに言えば、映画のカットバックをおもわせる構成のたくらみが最後に生きてくる傑作ミステリでもある。しかしながら、裏表紙と解説の文章が宮部作品にかぎってネタバレになっていることは納得いかない。未読の読者は、まずいきなり収録作の本文を読んでください。 |
華族夫人の忘れもの―新・御宿かわせみ |
御宿かわせみの神林東吾がいなくなって、新・御宿かわせみがスタートした。次世代の神林チルドレン達が活躍している。一編一編のストーリーはしっかりしている。しかしながら、まだなじめない。ラストでまた新たな事実が発覚するが、はやく東吾・るいの名調子を復活してほしいと、せつに願う。 |