裕木奈江 『ウーマンドリーム』ダイジェスト
クライマックス ロマンティック・ソングス |
2007年に発売された「クライマックス ドラマティック・ソングス」の続編。
今回は90年代の代表曲集、という体裁をとっているものの前作収録漏れになったヒット曲をフォローする性格が強い。 全32曲、時代を象徴し後世に伝えていくべき名曲だらけ。当時を体感した世代はもちろん若い世代も十分楽しめる内容になっている。 …しかしだ。どうにも納得できないことがある。 小田和正「ラブ・ストーリーは突然に」 佐野元春「約束の橋」 大滝詠一「幸せな結末」 これら3曲は前作に収録済みのはずだ。購入者の多くを占めるであろうリピート層に二度買いさせるつもりなのだろうか? あえてこの3曲を再録せずとも90年代には名曲が星の数ほどあるだろうに。 良心的な価格設定だが配慮の足りなさで星-2。 |
Good-bye Morning |
MIKEとして90年代初頭アイドル&懐メロ路線でデビューした宇徳敬子のシングル。近藤房之助との同系列コラボは、ビーイングの特色の一つだった。そのコラボシリーズにおいて一際光るのがこの曲。近藤といえば、ZARDのlisten to meのような滑稽なコーラスの印象が強いが、本曲においては若干のハスキーさが宇徳のボーカルと不思議なハーモニーを繰り広げる。
全体として柔らかい曲調で、王道のバラードパターンであるが、その後のバラ―ディスト宇徳の方向性を良い意味で固めた作品だと思う。アコギを使用し、スローなテンポのサウンドは心身が疲れたときにはとても癒される。当時若くしてこの曲を聴いていた人達は、15年以上経て現実の厳しさに打ちのめされている人も多いかもしれないが、全体的にポジティブに運ぶこの歌詞は今聴いてこそ魅力が開花するかもしれない特に、「明日は変わるだろう♪」というフレーズは、当時は何とも思わなかったが、今は哀願にも似た魅力を感じるフレーズだ。苦境に立たされた時こそ、翌朝違う朝日を浴びたいという願望を見事に、心を見透かしたような歌詞だと思う。 当時、宇徳敬子といえば個人的にサウンド、雰囲気も坂井泉水に重ねていたものだが(売り手もそれを意識したかもしれない)、彼女が逝去した今となっては、一際この曲の魅力を感じる。 release at 1992 |